氏によって、その後、多くの安居院唱導資料が紹介されている(注1)。また、真福寺に蔵されている安居院唱導資料が「真福寺善本叢刊」中に収められて刊行されている(注2)。さらに、畑中栄氏によって、『澄憲作文大体』『類句抄』『言泉集(東大寺北林本)』が古典文庫から、翻刻紹介されている。 また、村山修一氏によって紹介された『普通唱導集』(注3)、安居院の唱導に用いられたであろう秀句を類従して編まれたと考えられている『金玉要集』(注4)も、安居院を中心とした中世の唱導を考えるうえで重要な資料である。 なお、金沢文庫に蔵される唱導資料には、安居院以外の唱導資料も多く蔵されており、大きな意義を持つ。納冨常天氏によって翻刻・紹介された湛睿の唱導資料は、安居院の流れを汲まない唱導資料であり、実際の法会において用いられた唱導資料である点で重要である(注5)。
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(大曾根章介「澄憲作文集」、『中世文学の研究』、東京大学出版会、1972年。『大曾根章介日本漢文学論集』第二集所収) まず親の恩が讚えられ、その恩に報いる真の孝養は後世の菩提を祈ることであると述べる。孝子伝の丁蘭・伯瑜・黄香・劉殷、また、周の文王、唐の高祖の孝行を引き合いにしながら、亡親の後世を救う追善供養が、これらの孝子たちに勝る孝養であることを説く。 |
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